テンジャンとは?韓国味噌と日本味噌の違い・テンジャンチゲの作り方
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韓国の食卓にはいつもテンジャンチゲがある――キムチチゲと並び、韓国人が最も日常的に食べる家庭料理のひとつです。
「テンジャンって日本の味噌と何が違うの?」「テンジャンチゲを家で作りたいけど、日本の味噌で代用できる?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、テンジャンの基本知識から日本の味噌との違い、煮込むほど美味しくなる理由、本格テンジャンチゲの作り方、そして保存方法までを体系的に解説します。
テンジャンとは?
テンジャン(된장 / 된醬)は、大豆を発酵させて作る韓国の伝統的な発酵調味料です。韓国語で「テン(된)」は「固い」、「ジャン(장)」は味噌や醤油などの発酵調味料を指す「醤」を意味し、直訳すると「固い醤」となります。日本では「韓国味噌」とも呼ばれ、コチュジャン(唐辛子味噌)、カンジャン(韓国醤油)と並ぶ韓国三大ジャン(醤)のひとつです。
テンジャンの歴史は古く、三国時代(高句麗・百済・新羅)までさかのぼるとされています。中国の史書『三国志』には「高句麗は醸造が上手い」という記録があり、朝鮮半島では7世紀末の渤海時代にはすでに味噌玉麹(メジュ)が名物として知られていました。
テンジャンの最も代表的な使い方がテンジャンチゲ(味噌チゲ)です。日本の味噌汁が毎日の食卓に欠かせないように、韓国ではテンジャンチゲが日々の定番汁物として親しまれています。
テンジャンの製法 ── メジュから生まれる深い味わい
テンジャンの製法は、日本の味噌とは根本的に異なります。その違いを理解すると、テンジャン特有の深い味わいの理由がわかります。
伝統的なテンジャンは、まず大豆を煮て臼で粗くすりつぶし、一定の大きさのブロックに成形します。これが「メジュ(메주)」と呼ばれるもので、テンジャンだけでなくカンジャン(醤油)やコチュジャンなど、大豆発酵調味料すべてのもとになる大切な存在です。
成形したメジュは、暖かい部屋に置いてカビが生えるのを待ちます。その後、藁でくくって冬の間部屋に吊るし、藁に付着していた枯草菌(Bacillus subtilis ── 納豆菌の仲間)による発酵を1〜3ヶ月かけて進めます。ここが日本の味噌と決定的に違うポイントで、日本の味噌が人為的に培養した麹菌(Aspergillus oryzae)を使うのに対し、伝統的なテンジャンは自然界に存在する枯草菌の力を借りて発酵させるのです。
発酵を終えたメジュは、早春の頃に日光で乾かしてから大きな甕(かめ)に塩水と一緒に入れ、さらに数ヶ月間熟成させます。この過程でさまざまな有益な微生物がメジュを栄養豊かな形に変えていきます。やがて甕の中の液体部分がカンジャン(醤油)に、固くて塩辛い塊の部分がテンジャンになります。つまり、テンジャンとカンジャンは同じメジュから同時に生まれる「兄弟」のような関係なのです。
なお、現在市販されているテンジャンは、伝統製法(在来式)と工場製法(改良式)を組み合わせたものが主流です。工場製では小麦粉や麹を加えて発酵を安定・促進させ、品質のばらつきを抑えています。Han Selectで取り扱っているヘチャンドル テンジャンも、在来式と改良式を組み合わせたうえで低温熟成で仕上げることで、伝統の香ばしさを残しつつマイルドで深みのある味わいを実現しています。
テンジャンと日本の味噌の違い
テンジャンと日本の味噌は、どちらも「大豆を発酵させた調味料」ですが、製法・味わい・使い方にはっきりとした違いがあります。
原料と麹の違い
日本の味噌は大豆に加えて米や麦を使い、それぞれに麹菌(こうじきん)を繁殖させた「米麹」「麦麹」をスターターとして発酵させます。麹の種類によって白味噌・赤味噌・麦味噌などバリエーションが生まれ、麹由来の甘みが特徴です。一方、伝統的なテンジャンは大豆と塩のみで作られ、自然環境に存在する枯草菌に発酵を委ねます。麹を使わない分、素材の大豆そのものの力強い風味が前面に出ます。
質感と外観
日本の味噌は大豆を細かくすりつぶすため、なめらかなペースト状に仕上がります。テンジャンは大豆を粗めにつぶすため、大豆のかけらがそのまま残った粒感のある仕上がりが特徴です。色は日本の赤味噌に近い濃い茶色で、熟成が進むほどさらに色が深まります。
味わいの方向性
日本の味噌は麹由来の甘みとまろやかなうま味が持ち味です。テンジャンは甘みが少なく、塩味がしっかりしていて、発酵由来の力強い香りと深いコクがあります。テンジャンの風味は日本の赤味噌や豆味噌に比較的近いとされますが、それでも独特の発酵香はテンジャンならではのものです。
加熱に対する性質 ── 最大の違い
日本の味噌は沸騰させると麹菌由来の芳香成分が揮散し、風味が落ちるとされるため、味噌汁は「煮立てない」のが鉄則です。しかしテンジャンは正反対で、ぐつぐつ煮込めば煮込むほど風味が増し、コクが深まります。テンジャンチゲを作るとき、テンジャンを最初からだし汁に溶き入れてグツグツ煮込むのはこのためです。加えて、テンジャンの栄養分は沸騰させても失われにくいという特性も報告されています。
この「煮込むほど美味しくなる」という性質こそが、テンジャンを日本の味噌で完全に代用できない最大の理由であり、テンジャンチゲがテンジャンでなければ出せない味に仕上がる所以でもあります。
テンジャン・コチュジャン・サムジャンの違い
韓国の「ジャン(醤)」には複数の種類があります。テンジャンとよく比較されるコチュジャン・サムジャンとの違いを整理します。
テンジャン(된장)は大豆を発酵させた韓国の伝統味噌で、煮込み料理やチゲに真価を発揮します。コチュジャン(고추장)はもち米と唐辛子粉を麹で発酵させた辛味調味料で、甘みと辛みを併せ持ち、ビビンバやトッポギの味の核になるものです。サムジャン(쌈장)はテンジャンとコチュジャンを合わせ、にんにく・ごま油・砂糖などの薬味を加えた合わせ味噌で、焼肉をサンチュで包んで食べるディップとして使います。
ひと言でまとめると、テンジャンは「煮込む味噌」、コチュジャンは「辛さを足す薬味」、サムジャンは「包んで食べるディップ味噌」です。Han Selectのブログではサムジャンの詳しい解説記事も公開していますので、あわせてご覧ください。
テンジャンチゲとスンドゥブチゲの違い
「テンジャンチゲとスンドゥブチゲって何が違うの?」という質問もよく見かけます。
テンジャンチゲは「テンジャン(味噌)」がベースの鍋料理です。煮干しや昆布、あさりなどでとっただし汁にテンジャンを溶き入れ、じゃがいも、豆腐、玉ねぎ、ズッキーニ(韓国かぼちゃ)、きのこ、青唐辛子などの具材を入れてぐつぐつ煮込みます。味噌のコクが主役の、韓国版「味噌汁」ともいえる汁物です。
一方、スンドゥブチゲ(순두부찌개)は「スンドゥブ(純豆腐=おぼろ豆腐)」が主役の鍋料理です。唐辛子やコチュジャンベースの辛いスープに、絹ごし豆腐よりさらにやわらかいおぼろ豆腐を入れ、あさりや豚肉、最後に生卵を落とすのが定番です。
つまり、テンジャンチゲは「味噌味のチゲ」、スンドゥブチゲは「おぼろ豆腐が主役の辛いチゲ」と覚えると区別しやすくなります。
本格テンジャンチゲの作り方(2人分)
韓国の家庭で最も一般的なテンジャンチゲの基本レシピです。日本のスーパーで手に入る食材だけで作れます。
材料
だし汁用: 水 500ml、煮干し 5〜6尾(頭とワタを取る)、昆布 5cm角 1枚
具材: じゃがいも 1個(約100g)、玉ねぎ 1/4個(約50g)、木綿豆腐 1/2丁(約150g)、えのきだけ 1/2袋(約50g)、長ねぎ 1/3本、あさり 10〜15個(砂抜き済み)
調味料: テンジャン 大さじ2(約45〜50g)、にんにくすりおろし 2片分
お好みで: 青唐辛子 1本(輪切り)またはコチュジャン 小さじ1、ごま油 少々
作り方
① だしをとる ── 鍋に水500ml、煮干し、昆布を入れて中火にかけます。沸騰したら昆布を取り出し、煮干しは2〜3分煮てから取り出します。あさりを加え、アクが出たら取り除きます。あさりの口が開いたらいったん取り出しておきます(煮込みすぎると身が縮むため)。
② 野菜を切る ── じゃがいもは1cm厚の半月切り、玉ねぎは薄切り、豆腐は2cm角、えのきは石づきを落として半分に切り、長ねぎは斜め薄切りにします。
③ じゃがいもと玉ねぎを煮る ── だし汁にじゃがいもと玉ねぎを入れ、中火で5〜6分、じゃがいもが箸ですっと切れるくらいやわらかくなるまで煮ます。
④ テンジャンを溶き入れる ── テンジャンをだし汁で少しずつ溶かしながら鍋に入れます。にんにくすりおろしも加えます。ここでのポイントは、日本の味噌汁と違い「火を止めない」こと。テンジャンは煮込むほどコクが出るため、最初から入れてぐつぐつ煮込みます。
⑤ 残りの具材を加える ── 中火でさらに2〜3分煮込んだら、豆腐、えのき、長ねぎ、取り出しておいたあさりを戻し入れます。お好みで青唐辛子の輪切りやコチュジャン小さじ1を加えるとピリ辛でさらに美味しくなります。
⑥ 仕上げ ── 全体をさらに2分ほど煮込めば完成です。土鍋で作ると食卓に出しても熱々が長持ちします。仕上げにごま油をほんの少し垂らすと風味がアップします。
アレンジのヒント
だしにダシダ(韓国牛だし)小さじ1を加えると、コクが格段に増します。ズッキーニや韓国かぼちゃ(エホバク)があれば、日本のかぼちゃより水分が多くチゲ向きなので、ぜひ加えてみてください。豚バラ薄切り肉を少量加えると、肉のうま味が加わりボリュームも出ます。
テンジャンの活用法 ── チゲ以外にもこんなに使える
テンジャンはチゲ専用の調味料ではありません。実は幅広い料理に活躍します。
テンジャンとコチュジャン、にんにく、ごま油を混ぜれば、手作りサムジャンが簡単に作れます。焼肉やサムギョプサルのときにサンチュやエゴマの葉に塗って肉を包めば、本格的な韓国式の食べ方が楽しめます。また、テンジャンを野菜の和え物に少量加えると、味噌和えとは一味違う深いコクのナムル風に仕上がります。
さらに、豚肉や鶏肉の味噌漬けにテンジャンを使うと、テンジャン特有の発酵の風味が肉に移り、焼いたときの香ばしさが格別です。煮物のベース調味料としても優秀で、日本の味噌で作る肉じゃがの味噌をテンジャンに替えるだけで、パンチの効いた韓国風の煮物になります。
テンジャンの栄養
テンジャンは味わいだけでなく、栄養面でも優れた食品です。
大豆を丸ごと発酵させて作るため、植物性たんぱく質が豊富に含まれています。ヘチャンドルテンジャンの場合、100gあたりのたんぱく質は13gです。また、米を主食とする食文化では不足しがちな必須アミノ酸リシン(リジン)が豊富に含まれており、ごはんと一緒に食べることで栄養バランスを補う役割を果たしてきました。
テンジャンにはフラボノイド(ポリフェノールの一種で抗酸化作用がある)やビタミン類・ミネラル類も含まれています。さらに、脂質中にはリノール酸(約53%)やリノレン酸(約8%)が含まれ、血管の健康維持への寄与が示唆されています。そしてテンジャンチゲのように沸騰させて調理しても、これらの栄養分が失われにくいのもテンジャンの大きな特長です。
テンジャンの生産地として名高い韓国・淳昌郡(スンチャングン)は「長寿の郷」としても知られ、テンジャンを含む発酵食品の日常的な摂取が長寿の一因として挙げられることもあります。
ただし、テンジャンは塩分が高い調味料でもあります(100gあたり食塩相当量12.5g)。一食あたりの使用量は大さじ1〜2(約15〜30g)程度に抑え、塩分の摂りすぎには注意しましょう。
テンジャンの保存方法
テンジャンの未開封時の賞味期限は製造後15ヶ月です。直射日光と高温多湿を避け、涼しい場所で常温保存できます。
開封後はフタをしっかり閉め、冷蔵庫で保存してください。清潔なスプーンで取り分けるようにすると、雑菌の混入を防げます。塩分が高い発酵食品のため保存性に優れており、冷蔵保存であれば開封後もおおむね6ヶ月〜1年程度は使えるとされていますが、風味を楽しむためにはなるべく早めに使い切ることをおすすめします。
なお、時間の経過とともに色が濃くなることがありますが、これは発酵による自然な変化であり品質に問題はありません。表面に白い粒が見られることもありますが、これは麹によるもので安全に召し上がれます。
ヘチャンドル テンジャン ── 商品紹介
Han Selectでは、韓国国内トップクラスのシェアを誇るCJヘチャンドルのテンジャンを取り扱っています。在来式と改良式の製法を組み合わせ、低温熟成で仕上げた本格派。大豆の含有量が多く、香ばしい風味と豊かな香り、大豆のかけらが残る粒感が特徴です。
ご家庭向け(500g / 1kg / 3kg)
お試しなら500g、普段使いなら1kg、頻繁に使うご家庭や少人数の飲食店なら3kgがおすすめです。
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業務用(14kg)
韓国料理店や焼肉店など、テンジャンを毎日大量に使う飲食店に最適な14kg缶。コストパフォーマンスに優れた大容量サイズです。
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商品情報(共通)
原材料名は、大豆、小麦粉、食塩、小麦、野菜スープ(14kgは野菜濃縮液と表記)、脱脂大豆粉(14kgは脱脂大豆と表記)、味噌玉麹粉、麹、大豆粉/酒精、調味料(核酸等)です。アレルギー物質として小麦・大豆を含みます。栄養成分は100gあたりエネルギー180kcal、たんぱく質13.0g、脂質6.0g、炭水化物19.0g、食塩相当量12.5gです。原産国は韓国、製造元はCJ(ヘチャンドル)です。
よくある質問(FAQ)
Q1. テンジャンと日本の味噌の一番の違いは何ですか?
最大の違いは加熱に対する性質です。日本の味噌は沸騰させると風味が落ちるため「煮立てない」のが基本ですが、テンジャンは煮込めば煮込むほどコクが増し、風味が深まります。また、伝統的なテンジャンは大豆と塩のみで作られ、日本の味噌のように米麹や麦麹を使わないため、甘みが少なく力強い発酵の風味があります。
Q2. テンジャンチゲに日本の味噌を代用できますか?
完全な再現は難しいですが、赤味噌(豆味噌)であれば比較的近い味わいになります。ただし、日本の味噌で作る場合は沸騰させると風味が飛んでしまうため、最後に味噌を溶き入れるなど加え方を工夫する必要があります。テンジャンチゲ本来の「煮込んで深まるコク」を楽しみたい場合は、やはりテンジャンを使うのがおすすめです。
Q3. テンジャンの開封後の保存方法と期限は?
開封後はフタをしっかり閉めて冷蔵庫で保存してください。塩分が高く保存性に優れているため、冷蔵であれば6ヶ月〜1年程度は持ちますが、風味を楽しむにはなるべく早めの消費をおすすめします。色が濃くなるのは発酵の進行による自然現象で、品質には問題ありません。
Q4. テンジャンにはどんな栄養がありますか?
植物性たんぱく質(100gあたり13g)、必須アミノ酸リシン、フラボノイド、ビタミン類・ミネラル類が豊富です。リノール酸やリノレン酸も含まれ、血管の健康維持に寄与するとされています。沸騰させてもこれらの栄養素が失われにくいのもテンジャンの特長です。ただし塩分は100gあたり12.5gと高めですので、使用量には注意しましょう。
Q5. テンジャン・コチュジャン・サムジャンは何が違いますか?
テンジャンは大豆発酵の味噌で、煮込み料理のベースに最適です。コチュジャンはもち米と唐辛子を発酵させた辛味調味料で、ビビンバやトッポギに使います。サムジャンはテンジャンとコチュジャンを合わせて薬味を加えた万能ディップで、焼肉をサンチュで包むときの定番です。
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